世界の軍需産業と武器輸出
2020年の世界の総軍事費は1兆9810億㌦(217兆円)である。冷戦終局時点の1990年に比べて4割増えている。1.アメリカ、2、中国、3、インド、4.ロシア、5.イギリスで、日本は491億㌦で9位である。アメリカの国防費は、2021年度会計で、7330億㌦(約80兆1000億円)である。アメリカはステルス戦闘機の調達拡大とミサイル防衛システム強化に力を入れている。中国は1兆3553億元(約23兆2000憶円)である。
アメリカは軍備をグローバルに展開をしている。中国は東アジア中心である。さらに中国は政府会計の表れない部分も多いと見られている。艦艇の数は、中国が350隻、アメリカは300隻であるが、アメリカの艦艇は規模が大きく優れた攻撃・防御システムを備えている。高度な指揮命令系統のネットワークもあり、軍用機と水上艦、潜水艦と結びついている。
日本の軍備に関しては、岸信夫防衛相は5月、GDP1%枠にこだわらず増やす方針を示している。現在、航空自衛隊の戦闘機はF4,F15,F2の三種類である。1971年から配備が始まったF4は、老朽化のため2017年末から最新鋭のステルス機F35に切り替えてゆく。F2は艦船をミサイルで攻撃する戦闘機である。三菱重工業は生産を終え、30年以降に退役させる。F35はアメリカ、イギリス、イタリアなど9カ国で共同開発している。開発費は6兆円にのぼる。日本は国産の可能性を探るためステルス性能の試験を始めるため、2016年から先進技術実証機X2を使っている。国産戦闘機の復活が課題となっている。
同盟関係ではアメリカとの協力国が重要で、日本をはじめ、海軍力のあるオーストラリア、韓国、シンガポールがある。そしてQuad(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)の連携も強化している。中国はロシアとの合同軍事演習をしている。イランにも投資し、味方に引き入れようとしている。
武器輸出で大きな産業としているのがロシアである。アメリカは2017年8月に対ロ制裁強化法を成立させ、外国政府にロシアからの武器購入を取りやめるよう動いている。ロシアから軍事装備品を購入したとして、中国共産党の高官らへの制裁を2018年9月20日に行っている。中国中央軍事委員会で装備調達を担う装備発展部とその責任者である李尚福部長を制裁の対象としている。ロシアの最新鋭戦闘機「スホイ35」を10機と地対空ミサイルシステム「S400」 を購入したのが理由である。S400はインドやトルコにも購入に向けた動きをロシアは進めている。
世界の軍事衝突の危機はアジア太平洋地域で増している。アメリカは2022会計年度(21年10月~22年9月)から6年間で273億㌦(約2.9兆円)の予算を投じる案を検討している。沖縄からフィリピンを結ぶ第一列島線に沿って米軍の対中ミサイル網を築く。台湾や南シナ海の有事を想定しており、同盟国との協力も課題となる。中国を「国際秩序に絶えず挑戦する唯一の競争相手と定義し、対抗姿勢を鮮明にしている。米軍はアジア太平洋に約13.2万人の兵力を配備している。今後、中距離ミサイルの配備の議論する可能性もある。
武器輸出が戦争と紛争を作るものである。ミャンマーのクーデターはロシアの武器に支えられている。3月27日のミャンマー国軍記念日にロシアはフォミン国防次官を派遣した。2019年までにミャンマーは8億700万㌦(約880億円)のロシア製兵器を購入した。ジェット戦闘機、戦闘ヘリ、地対空ミサイルシステムなどである。
日本でも安倍政権が「積極的平和主義」を掲げて、武器輸出を解禁した。2014年4月に武器輸出を禁じてきた武器輸出三原則を撤廃し、防衛装備移転三原則を作成した。アメリカの国家安全保障会議(NSC)に出したのは、地対空ミサイルPAC2の部品輸出するとうこととミサイル性能を向上させる技術研究を三菱電機が行う案件である。インドへの飛行艇輸出を目指す新明和工業をはじめ、NEC,富士通、富士重工、東芝、IHIなどの企業が武器輸出に関与している。
「防衛装備移転三原則」で、装備の共同開発や支出が大幅に緩和される。それを受けて日本とオーストラリア政府は潜水艦の関連技術に関する共同研究に着手した。日本は技術研究本部、豪州は国防科学技術機構(DSTO)の研究員をそれぞれ出し合い、推進力の高い船体の形状やプロペラ音の静粛性について研究する。
三菱重工業と米ロッキード・マーチンは2017年6月にステルス戦闘機「F35A」を公開している。日本政府は2011年、F4の後継機として42機の調達を決定している。そのうち38機を三菱重工業が手掛ける。残り4基はアメリカで製造した機体を輸入する。
軍事技術で、アメリカでは2014年ごろには無人戦闘機が使われるようになっている。米兵の人的被害を減らすためである。無人機はその時点で保有国70ヵ国である。機関銃の遠隔操作もできている。軍事用ロボットの開発が進んでいる。
アメリカ、中国、ロシアによる宇宙の支配権をめぐる競争が激しくなってきている。衛星情報を基にしたミサイル探知や軍事作戦の指揮・命令系統を拡散するため相手国の衛星を妨害する兵器の開発が行われている。宇宙の軍備管理は国際法が曖昧とされ宇宙が戦場になる恐れがある。衛星は軍事施設や攻撃目標の偵察、ミサイルの早期探知など幅広い役割を担ってきている。宇宙の軍備管理を巡っては1967年に発効した「宇宙条約」があるが、効力が薄いとされている。
今年、5月15日、中国の探査機が火星への着陸を成功させると、習近平主席が宣言した。2019年、中国は月の裏側に探査機を着陸させた。今年4月には独自の宇宙ステーションの中核施設を打ち上げ、22年に基地を完成させる。米軍は多くの作戦を衛星に頼っている。通信や指揮、監視、ミサイルの誘導にも衛星が欠かせない。衛星攻撃力には、①地上からのミサイル、②キラー衛星で攻撃、③レーザーなどの志向性のエネルギー兵器、④サイバー攻撃、⑤特殊部隊で地上管制局を襲うなどの方法がある。米中ロに加えて、インドやイラン、北朝鮮も何らかの衛星攻撃力をもつといわれる。世界で運用中の衛星は、3372、そのうちアメリカが1897で、56%。中国は12%、ロシアは5%である。米軍幹部によると、仮に、台湾海峡などで米中が戦争になれは、衛星攻撃で始まる公算は大きい。
世界の平和は軍備拡大では破滅にしか導かないのではないだろうか。国家を超えた世界軍事抑制のための機構が必要である。
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