国連立て直しの必要or解体

【国連の役割】

 国連の第一の役割は、戦争廃絶である。第二次世界大戦の連合国が集まって戦争後の世界の平和を開示するために作った機構である。二度の世界大戦の悲惨に対する反省から生まれたと言える。紛争解決や戦争阻止などがその役割であるが、そのような側面は、現在、世界の情勢からすると重要性は増しているのに、逆に、国連は対処しなくなっており、国連としてのそのことに対する意識も薄くなってしまっている。国連を運営する人たちは、戦争を否定することを忘れてしまったかのような印象さえある。国連加盟各国は国連への期待の中にその最重要の課題・使命を振り返らなくなっているのではないだろうか。

【自由主義秩序】

国連は第二次世界大戦の戦勝国の戦後世界体制であるので共通の理念として国家を前提として、その中で均衡を保ちながら世界平和を実現するという姿勢がある。常任理事国は、いわゆるP5(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア(もともとソビエト連邦)、中国(もともと台湾の中華民国))の5ヵ国である。枢軸国であったドイツ、日本、イタリアは入らない。国連は、安全保障理事会が中心的な役割を担う国際的組織である。国連は、戦後の平和秩序を守る機関であったはずである。

国連の一方の思想としては、自由秩序を守るという側面があった。その側面は、アメリカ、イギリス、フランスが中心となってきた。国際自由主義秩序international Liberal Orderの危機が論じられている。20世紀の資本主義の発展の中で労働者階級の中から富裕化があり、中産階級が形成された。自由主義的発想は、中産階層が主な担い手で、市民勢力として大きな役割を持つようになった。国内での格差が拡大し、中間層の所得の伸びが鈍化している中で、国際自由主義秩序というものに対する基盤が弱くなっている。そして、今、強権ということが、国家の力と軍事力が尊重されるという側面が世界秩序の理解の中で、強くなり出している。

【安全保障理事会の機能不全】

 国連の中で唯一、法的拘束力のある決議を採択できるのは、安全保障理事会である。安保理の決議数は減少傾向にある。拒否権を持つ常任理事国同士の対立は日常茶飯事である。(2020.9.26)グテレス事務総長は国連改革を唱えているが、常任理事国を増やすといった、国連の本来の役割を視野に入れるものではない。ほとんどの成果のある改革は望めない。

 国連は事務の無駄が目立つ。官僚主義に陥っているが、その官僚的仕事が効率よく働いていない。2000年以降予算は140%を増え、職員は倍以上になった。意味のない無駄の膨張といえる。無駄な翻訳作業があまりに多くコストがかかっている。むしろ余計な活動を停止したほうがいいのではないだろうか。

 性暴力の撲滅をグテレス事務総長は呼びかけている。性暴力というのは、「国連平和維持活動(PKO)」の隊員による市民の性的搾取や虐待である。国連がなければ起こらない犯罪である。言語道断である。

 根本的な改革が必要である。国連の使命を一から見直し、制度・組織自体を変革するときが来ていると言える。国連の機能は、戦争を廃棄する。核を廃絶する。紛争を防ぎ解決する。武器の生産、軍需産業を抑える。武器輸出を規制する。武力による権力掌握に対して適正な手続きを行う。強権、武力行使による政権奪取など武力による国家の活動を制約し、平和な国家運営に導く、といった事柄であるはずである。

 グテレス事務総長は2021年3月2日のG7サミットの中で、2030年までに石炭火力発電を段階的に廃止するように求める、という演説を行っている。これは、事務総長が率先することではないはずである。本来の役割を顧みることなく、いわばほかの機関がやれることに余計な口を出す暇はないはずである。

【分担金】

 国連の分担金は、3年に一回、国連総会で決定される。かつてアメリカと日本で半額ほどを占めていた。日本は年々減少し、現在、9.680%、2億4770万ドル(約273憶円)である。中国とブラジルの額が多くなっている。中国は、2004-6年が、2.1%であった。現在、12.005%で米国に次いで2位である。1地位アメリカ22%6億9870万ドル、2位中国、3位日本、4位ドイツ、5位イギリスで、ブラジルは8位2.948%である。約40カ国の分担率は下限の0.001%である。

【戦争の危機の増大】

 現在世界は、戦争と紛争の危機がいたるところで蔓延している。ミャンマーのクーデター、アフガニスタンのタリバン政権の樹立、シリアの紛争、アフリカ諸国でも紛争は耐えない。イラン、イラク、レバノンも紛争の危機は大きい。イランや北朝鮮をめぐる核保有の問題もある。これらの事態に国連はほとんど対処していない。国連に代わって、それぞれの国家が対処しようとしている。国家が対処しようとするとき、戦争につながりかねない。国益が背後で働く。戦争の危機が増大しかねない。中国とアメリカの対立、台湾海峡を巡る対立、香港の圧政、ウイグルの紛争などに加えて、ロシアとアメリカやNATOとの緊張関係など、国連が対処すべき事柄であるはずである。

 サイバー戦争の危機が、2017年ごろには現実のものとなり始めた。ウクライナで頻発している。北朝鮮の脅威も大きくなっている。ウクライナでは、国中の公共機関でコンピューターウイルスの感染が広がっている。決済が不能、3000の銀行店舗の閉鎖、原発の放射線監視システムの一部停止、政府と企業を結ぶ会計システムのハッキング、などがある。

【原子力発電の規制なし】

 2016年11月11日、安倍首相とインドのモディ首相は原子力協定締結している。日本は原発輸出を始める。核の管理を国連機関のIAEAがするはずであるが、原発に関しては規制していない。日本をはじめインド、イギリス、フィリピンなど、進めようとしている。廃止の方向の提起を国連に提起し、国連の一つの役割としてもいいのではないだろうか。

<その他の世界の共通の利益のために貢献する国連機関>

【WHO】

 世界保健機関(WHO)は発生源を突き止めるために中国・武漢に派遣した調査団は、今後のウイルス発生に備えるためにも、成果が望まれたが、ほとんど何も明確にならなかった。調査団は、中国科学院ウイルス研究所からのウイルス流出が流行を招いた可能性は極めて低いとした。ウイルスは動物由来の可能性が高いという米スクリプス研究所の論文が科学界のコンセンサスになっている。

 しかし、WHOの活動には、多くの疑念が投げかけられたままである。他面、ワクチンや薬剤の承認に関しては、低開発国はその力を持たないので、WHOの行う調査は大きな意義を持つことになる。

 厚生労働省、外務省、財務省は、グローバルヘルス戦略推進協議会を立ち上げ、WHOの改革の検討を始めている。米国はEU主導のパンデミック条約に慎重な姿勢で、改革には中国が慎重な姿勢をとっている。

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